気とはなにか

東洋医学

「気の医学」とも言われる東洋医学。

東洋医学にとって「気」という概念が必要不可欠です。

しかし東洋医学を理解する上で、大きな壁になるのも「気」だと感じています。

東洋医学の考えを学ぶときに大事なのは、一度素直に受け止めることです。

「気」というある意味広く曖昧な概念を理解することによって、人間の本質に基づいて臨床に活かせるはずです。

気について

実は、私たち日本人にとって「気」はとても馴染み深いのです。

元気、病気、気のせい、気にする、気配、気持ち、空気、気が合う、気が抜ける、気が晴れるなど日本語には自然と気が使われています。

そもそも「気」という概念は、春秋戦国時代に中国思想の霊的な観念から発展し、「気の思想」が生まれました。この時同時に陰陽論とともに発達してきて、現代まで中国思想の基礎となっています。そして6世紀頃に遣唐使によって日本に渡ってきたのです。

「気」は目に見えないもので、森羅万象(全ての物や事象)の根源であるとされています。

これを「気一元論」といいます。

手に持っているスマホやPC 、ペンやノートも気です。草花も気ですし、風や雨、雷など天候や川の流れなどの自然も気なのです。

人も気ででき、食べ物を食べて消化して吸収、排便までの流れも気の働きです。

イメージ通りのところもあれば、そんなところも?と思ったかもしれません。

全てが気というのが東洋医学の世界です。

この概念ひとつで、気が足りないのか多すぎるのかというひとつの病態を知ることが出来ます。

これが知れば、足りないなら補う、多すぎるなら減らすように治療の一つの法則につながってきます。

気の作用と運動

気は人体の中でも重要な役割を担っていて、6つの作用があります。その作用は気機(気の動き)によって全身を駆け巡ることで発揮されます。

気機について

昇・降・出・入の4つの動きと、各臓腑における特有の動きによって絶えず全身を巡り生命活動を維持しています。

この動きが病気を考える上で重要であり、東洋医学ならではの全身状態の診断が可能となっている。

推動作用

気は陽性の物質のため極めて運動性が高いものです。そのため、人体内を絶えず巡ることで生命活動を維持しています。

巡れば組織や内臓の働きを活性化し、成長や発育を促します。血・津液・精などを推し動かす役割もあります。

温煦作用

身体を温める作用です。気によって作られた熱のおかげで体温を一定に保ち、正常な生理機能を維持しています。

固摂作用

様々な物質を留める作用です。身体の中の様々な物質はあるべきところになくてはなりません。また、発汗や排尿、排便などの役割を担っている。

血が血管からの流出、津液の過度な流出、精の流出などを防いでいます。

防御作用

外邪が体内に入るのを防ぐ作用です。気が体表を覆うことで体外からの侵入を防ぎ、体内に侵入した異物を排除するために働くのも気の役割です。

気化作用

気を変化させる作用です。気、血、津液、精は穀より気化作用によって気、血、津液、精に変化する。

栄養作用

気が巡ることで、組織や器官を栄養しています。

気の種類

先天の気

これは生まれ持った気で、年齢が重なるにつれて減っていき、先天の気が尽きてしまうと命が尽きるということになります。

東洋医学では、人は両親から先天の精というものを受け継ぎ誕生すると考えています。この先天の精は腎にしまっていて、この精から生み出される気が先天の気ということになります。

後天の気

飲食物より得られる後天の精から化生した気であり、食べたものより得られるため水穀の気ともいう。

後天の気を分類すると衛気、営気、宗気となる。

原気(元気)

生命の原動力の基本です。

日常生活でも「あの人は元気だね」とか「元気ない」というように使うと思います。元気がしっかりと充実していれば、生命力も強く見え、不足していれば弱って見えるように人には気を感じる能力が備わっているのです。

衛気

衛気は「水穀の悍気」であり、血中には入らず脈外の皮膚や肌肉、臓腑など全身を常に循環する活動的な陽気です。

昼は体表である陽を循り夜は体内に入り五臓六腑の陰を巡ります。外邪の侵入を防ぎ、皮膚の開闔(毛穴の開け閉め)に関わります。

腠理を開闔することで発汗の調節をし、適度に陽気を発散することで気温の変化に対応したり、体温の調整をする役割をしている。また正常に機能することにより、外邪の侵入を防いでいるのです。衛気は全身に分布していますが、場所によって呼び名が異なります。肝に行けば肝気、肺に行けば肺気、胃なら胃の気、腎では命門の気となります。

栄気

栄気は血の成分として脈中に入り、血を巡らせたり、身体を温める役割があります。イメージとしては、血液が巡ることで栄養を細胞や組織に届けていますが、その栄養分が栄気となります。

故に東洋医学でも、脈中に津液があり、栄気が入ることで血が成り立っています。この時津液は陰ですので形を作り、栄気は陽なので血を巡らせる役割になります。

宗気

飲食物からの水穀の精微と呼吸による自然界の清気が合わさって化生された気です。

胸に集まり、心肺に関わりその働きを支える。

呼吸と発生に深く関わり、充実していれば呼吸はゆったりと整い、声は大きく通り発音もはっきりとしています。

血の運行とも深く関わり、充実していれば心拍の強さやリズムは一定に保たれます。

古典

『類経』「人の生は、すべて気の力による」[人之有生、全頼此気(摂生類)]

『難経』「気は人の根本なり。根が絶えれば茎や葉も枯れるだろう[気者、人之根本也。根絶則茎葉枯矣]」

『霊枢』「人は気を穀より受ける。五臓六腑は皆以て気を受ける。その清なるものは栄と為り、濁なる者は衛となる」

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